具裕珍
1980年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、博士(学術)。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任助教。専攻は政治学。共著に『政治学入門 第2版』(弘文堂)、論文に「日本政治における保守の変容への一考察――1990年以降の「保守市民社会」の台頭に着目して」(「東洋文化研究所紀要」第179号)、“A Configurative Approach to Conservative Mobilization in Japan: The Effect of Combining Political Opportunities and Threats”(Japanese Political Science Review, Vol. 5)など。
近年、日本の政治・社会の右傾化や排外主義の台頭、保守団体の活発な活動が指摘されるようになった。なかでも、1997年に設立された日本会議は日本最大の保守団体として注目を集めている。
1990年代から小泉政権、第一次安倍政権を経て民主党政権までの政治動向や社会状況を押さえながら、靖国参拝支持、教育基本法改正、歴史教科書問題、夫婦別姓反対、「従軍慰安婦」問題などをめぐる日本会議の活動やイシューの内実、それに基づく集会や署名活動、動員の実態を検証する。
加えて、保守市民社会のアドボカシー活動=政治家に直接にはたらきかけるロビー活動に着目して、「歴史検討委員会」「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」「日本会議国会議員懇談会」という主要な議員連盟を取り上げ、日本会議と政治家のつながり、その影響力を分析する。
日本会議の活動や機関紙「日本の息吹」から作成したイベントデータを対象に、社会運動論や利益団体論、ロビー先選択論などの枠組みから保守市民社会と政治の関係を明らかにする画期的な研究成果。