
日高 勝之(ヒダカ カツユキ)
1965年、大阪府生まれ。立命館大学産業社会学部教授。専攻はメディア文化研究、記憶研究、政治コミュニケーション。著書に『昭和ノスタルジアとは何か』(世界思想社。2015年度日本コミュニケーション学会・学会賞受賞)、『「反原発」のメディア・言説史』(岩波書店)、Japanese Media at the Beginning of the 21st Century(Routledge)、Japanese Media and the Intelligentsia after Fukushima(Routledge)など。
〈政治の季節〉として語られる1960年代と、大衆消費社会やバブル文化で特徴づけられる80年代に挟まれた1970年代の文化は、2つの時代の「断絶」に位置して見過ごされ、戦後史での位置づけは不十分だった。
沖縄返還や日中国交正常化などの政治の動き、高度経済成長や第一次石油ショックなどの経済の変容を押さえたうえで、1970年代の映画、テレビ、雑誌、文学、音楽、アート、国家イベント、社会運動を横断的に考察する。その際、「家族・若者・中高年」「政治・性・マイノリティ」「国家・地方・周縁」などに注目しながら予断を排して検証する。
〈政治の季節〉から消費社会への過渡期という1970年代の単線的な歴史理解を退けて、新自由主義、新左翼、ポストモダン、戦後民主主義などが複雑に交錯した70年代の文化の深淵に迫り、「70年代とは何か」という問いに正面から応答する試み。