
吉永 進一(ヨシナガ シンイチ)
静岡県生まれ、2022年3月31日逝去。元舞鶴工業高等専門学校教授・龍谷大学世界仏教文化研究センター客員研究員。専攻は近代宗教史、秘教思想史。著書に『神智学と仏教』、共編著に『ブッダの変貌』『近代仏教スタディーズ』(いずれも法藏館)、『近現代日本の民間精神療法』(国書刊行会)、共著に『憑依の近代とポリティクス』(青弓社)など。
岡本 佳子(オカモト ヨシコ)
愛媛県生まれ。国際基督教大学アジア文化研究所研究員。専攻は近代日本思想史、アジア文化交流史。共著に『岡倉天心 思想と行動』(吉川弘文館)、『帰一協会の挑戦と渋沢栄一』(ミネルヴァ書房)、『越境する宗教史』上(リトン)、論文に“An Asian Religion Conference Imagined”(Japanese Religions, vol. 41, nos. 1 & 2)など。
莊千慧(ツァン チェンフェイ)
台湾新竹生まれ。神戸女子大学文学部准教授。専攻は近代日中比較文化。共著にTheosophy across Boundaries(SUNY Press)、論文に「中国から消えた神智学協会」(「比較文化研究」第111号)、“Internationalism or Pan-Asianism? Modern China’s Theosophical Movement in the 1910s and 1920s”(Global-Local Studies, No. 14)など。
神智学運動は、オカルティズムからニューエイジ、現代のスピリチュアリティへと続く霊的な思想の要所にありながら、宗教だけでなく、19世紀末から20世紀の政治や社会などに様々な影響を及ぼした。欧米で誕生した神智学は、どのようにアジアに広まり、受容され、それぞれの社会にインパクトを与えたのか。
創立者であるヘレナ・P・ブラヴァツキーの思想や活動を押さえながら、神智学協会の性格やその変容、ヨーロッパでの展開、植民地との関係を明らかにする。そして、南アジアのナショナリズムとの結節、近代中国での展開、日本仏教との関わりなど、アジアでの受容の実態を掘り起こす。
アジアの宗教にも影響を与え、東西にまたがる活動をおこなった神智学の越境性と分野横断的な営為、人的な交流を、近代の帝国主義、グローバリズム、メディアの発達なども踏まえて多角的に検証する。神智学運動をテーマにした日本初の論集。