伊藤 龍平(イトウ リョウヘイ)
1972年、北海道生まれ。國學院大學文学部教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)、『ツチノコの民俗学――妖怪から未確認動物へ』『江戸幻獣博物誌――妖怪と未確認動物のはざまで』『ネットロア――ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』『何かが後をついてくる――妖怪と身体感覚』(いずれも青弓社)、『怪談おくのほそ道――現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』』(国書刊行会)、『ヌシ――神か妖怪か』(笠間書院)、共著に『現代台湾鬼譚――海を渡った「学校の怪談」』(青弓社)、『恋する赤い糸――日本と台湾の縁結び信仰』(三弥井書店)、編著に『福島県田村郡都路村説話集』(私家版)、共訳に尉天驄『棗と石榴』(国書刊行会)など。
近年、怪談会や怪談イベントが人気を集め、怪談の動画コンテンツも盛んに配信されるようになっている。なぜ、今も昔も、恐怖を感じさせる怪談は人を引き付けるのか。そもそも、怪談を怪談たらしめているものは何なのか。
怪談の基本を声の文化として捉え、怖がらせたい語り手と怖がりたい聞き手の関係性のなかで生成する怪異をめぐる話として怪談を位置づける。そして、悲話、笑い話、猥談、落語、童話、ネットロア、予言譚、実話など、様々な話を成立させる仕掛けと怪異的な要素の関係を読み解くことで、怪談のメカニズムを浮き彫りにする。
話し手と聞き手の共犯関係や特定の感情を呼び起こさせる話の型・装置に着目して、「怪談とは何か」「怪談と恐怖の関係とは何か」を明らかにする。