山崎 隆広(ヤマザキ タカヒロ)
1969年、群馬県生まれ。群馬県立女子大学文学部教授。専攻はメディア論。共著に『雑誌メディアの文化史――変貌する戦後パラダイム 増補版』(森話社)、論文に「デジタル時代の読書についての史的、意味論的観点からの考察」(「出版研究」第51号)、「〈情況〉とサブカルチャー――雑誌『試行』をめぐる文化論的考察」(「群馬県立女子大学紀要」第38号)、共同監訳書に『オックスフォード 出版の事典』(丸善出版)、共訳書に『メディア表象』(東京大学出版会)など。
1969年に評論家・中村とうようたちが創刊した音楽批評誌「ニューミュージック・マガジン」は、「ロッキング・オン」などとともに戦後のポピュラー音楽やサブカルチャーをめぐる議論を牽引した。そのなかで〈他者〉、とりわけアメリカはどのような存在だったのか。
戦後の音楽産業、音楽雑誌や出版をめぐる事情などの基礎知識を押さえたうえで、「ニューミュージック・マガジン」の編集者を務めた北中正和へのインタビューや日本語ロック論争から、当時のポピュラー音楽と社会状況との関わりを明らかにする。加えて、吉本隆明たちが立ち上げた「試行」が日本の文化状況に与えたインパクトや、サブカルチャーへの影響などについても検証する。
1970年前後のオルタナティブなリトルマガジンで展開されたポピュラー音楽批評から、音楽が情況や運動とどう対峙したのかを描き、それをとおして戦後日本が抱える内なる他者や〈アメリカ〉の変容をあぶり出す。