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ハイジの生みの親ヨハンナ・シュピーリ

3,740円

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川島 隆(カワシマ タカシ) 1976年、京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専攻はドイツ文学。著書に『NHK「100分de名著」ブックス カフカ 変身――「弱さ」という巨大な力』(NHK出版)、『カフカの〈中国〉と同時代言説――黄禍・ユダヤ人・男性同盟』(彩流社)、共編著に『ドイツ語と向き合う』(ひつじ書房)、共著に『図説 アルプスの少女ハイジ――『ハイジ』でよみとく19世紀スイス』(河出書房新社)、訳書にフランツ・カフカ『変身』(KADOKAWA)、ジャン=ミシェル・ヴィスメール『ハイジ神話――世界を征服した「アルプスの少女」』(晃洋書房)、ペーター・ビュトナー『ハイジの原点――アルプスの少女アデライーデ』(郁文堂)など。 世界中で読み継がれている児童文学の古典的名作『ハイジ』。高畑勲演出のテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』をはじめ、映画、テレビドラマ、漫画や絵本など、多彩なメディアへの翻案を提供している『ハイジ』は、これらの氾濫するイメージに追いやられ、19世紀スイスに生きた原作者ヨハンナ・シュピーリその人に光が当たることはきわめてまれだ。 本書では、近代ヨーロッパ社会のさまざまな問題が織り込まれたシュピーリ文学の諸相を検証し、女性の自己実現、自然と教育のせめぎ合い、キリスト教信仰への思い、また社会運動へのまなざしなどのテーマが彼女の作品群でどのように変奏されていったのかを明らかにする。そして、その道筋の半ばに現れた傑作『ハイジ』の到達点をあらためて考察する。 爆発的な売れ行きをみせた『ハイジ』はまた、第三者による非公式の続篇の跋扈、数えきれないほどの映像化作品、そして日本でも多様なバリエーションの翻訳を生み出している。こうした「ハイジ現象」のうねりを鳥瞰しながら、スイスという国のイメージを規定する国民神話にまで上り詰めた「アルプスの少女」の魅力の正体を探る。

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