
許 光俊
1965年、東京都生まれ。音楽評論家、慶應義塾大学教授。著書に『問答無用のクラシック』『コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ』(ともに青弓社)ほか多数。
♪このところ連日芸能人の酔っぱらい騒ぎがニュースのトップで報道されている。あげく脳医学者が出てきて、説明。ひどく酔えば前後不覚になるくらい、誰だって知ってるさ。警察もひどい。「あんた、いいかげんにしておけよ」と家まで送り届ければ、それですむ話。「逃亡のおそれがないから釈放」には絶句。そんな凶悪犯か? あげく、大臣が登場して発言したり撤回したり。いやはや、恐ろしくレベルが低くて野蛮な国と言うしかないだろう。指揮者がタクトを振り上げた瞬間(生)から終わり(死)へと突き進んでいく。音楽とは、終わりを望みながら音という生に踏みとどまる、矛盾そのものである。それを音楽家はどうとらえてどのように描いてきたのか。生と死をめぐる特集ほか、刺激的エッセー多数。