
吉田 剛士(ヨシダ ゴウシ)
1960年、兵庫県生まれ。15歳から独学でマンドリンを始める。のちに川口雅行氏に師事。同志社大学文学部国文学専攻卒業。ドイツ国立ケルン音楽大学ヴッパータール校でマーガ・ヴィルデン・ヒュスゲン氏に師事、同校演奏家資格試験を最高点で卒業。湯淺隆とのアコースティックユニット・マリオネット(2020年に[email protected]と改名)としてオリジナルを中心に演奏活動を続けている。日本で唯一のマンドリン専門誌「奏でる!マンドリン」(リディア)の監修、各マンドリンコンクールの審査員を務めるなど普及・発展にも貢献している。2019年から日本マンドリン連盟副会長。[email protected]/マリオネット「Twitter」アカウント(@MuzicaMario)、無料メールマガジン(https://my120p.com/p/r/GeIHkNPD/)。
17世紀ごろにイタリアで生まれ、独特の叙情的な音色によって世界中で親しまれている楽器マンドリン。日本には明治の文明開化とともに伝来して、大学のマンドリンクラブを中心に全国に広まり、萩原朔太郎や古賀政男を筆頭に数々の文化人に愛されて一大ブームを巻き起こした。現在では演奏人口が世界一といわれているにもかかわらず、マンドリンについて網羅的に解説した本が日本にはほとんど存在しない。
本書では、これからマンドリンを始めようという初心者から、すでにある程度の演奏歴をもつ中・上級者までを対象に、第一線で活躍するプロのマンドリン奏者が「演奏を楽しむ/上達するためのポイント」と「マンドリン文化の奥深さ」を二段構えで詳細に解説する。
楽器の選び方、チューニングや弦の張り替え方といった基礎から丁寧に解説し、地域のオーケストラへの参加方法、先生の探し方、自主コンサートの開き方、よりよい音の作り方などの実用的な内容までを網羅する。さらにはイタリア・ナポリを中心に発展してきた楽器の歴史や日本のマンドリン文化史を総括し、マンドリン業界が抱える課題と今後の展望といった深いテーマまでを掘り下げる。
初心者がマンドリンの豊かな世界にいちはやくたどり着けるようアシストするガイドブックであり、ありそうでなかった「日本のマンドリン文化史」を総括する概説書でもある充実の一冊。