
片山 千枝(カタヤマ チエ)
1984年、埼玉県生まれ。加賀看護学校非常勤講師。専攻は社会情報学。「青年期女子のインターネットを介した出会いの様相――刹那的人間関係に注目して」で第35回電気通信普及財団賞・テレコム社会科学学生賞を受賞。論文に「オンライン上のゲーテッド・コミュニティの可能性と限界――SNS上のゲーテッド・コミュニティの分類と非ゲーテッド・コミュニティとの比較・検討から」(「社会情報学」第3巻第1号)、「青少年女子のインターネットを介した出会いの過程――女子中高生15名への半構造化面接結果に基づいて」(「社会情報学」第2巻第1号)など。
「学校裏サイト」「ネットいじめ」「援助交際」「出会い系サイト」など、青少年とインターネットの関係は、様々な側面で社会問題化され、そのリスクや問題性、事件・犯罪に巻き込まれる危険性が、主に保護者や教育現場の立場から議論されてきた。
一方で、スマートフォンをはじめとしたネット端末が青少年に普及したいま、またコロナ禍という社会状況もあり、ネットを介した出会いやコミュニケーションは青少年にきわめて身近なものになっている。
本書では、青少年、特に青年期女子が「Twitter」などのSNSや「LINE」などのインスタント・メッセンジャーといった各種サイト・サービスを介して出会いを実現することのリスクを確認する。そのうえで、多くのインタビュー調査(質的調査)から、出会い経験者と非経験者との差異を浮き彫りにして、青年期女子をはじめとした青少年はネットを介した出会いをどのように考えているのか、出会い経験者はどのような過程を経て出会いを実現するのか、その実態を様々な事例とともに明らかにする。
ネットを介した出会いで一時的であれ人間関係を築くことができる有用性とそのリスクの両面を分析して、保護者や教員が考えるべきポイントも指摘する。