
土屋 敦(ツチヤ アツシ)
1977年、神奈川県生まれ。関西大学社会学部教授。専攻は福祉社会学、家族社会学、子ども社会学。著書に『はじき出された子どもたち』(勁草書房)、『「戦争孤児」を生きる』(青弓社)、共編著に『孤児と救済のエポック』(勁草書房)など。
藤間 公太(トウマ コウタ)
1986年、福岡県生まれ。京都大学大学院教育学研究科准教授。専攻は家族社会学、福祉社会学、教育社会学。著書に『代替養育の社会学』(晃洋書房)、監修書に『児童相談所の役割と課題』(東京大学出版会)、分担執筆に『どうする日本の家族政策』(ミネルヴァ書房)など。
近年、児童虐待が社会問題化している一方で、社会的養護のもとで暮らす子どもへの支援も注目を集めている。これまで援助の「あるべき姿」などを中心に議論されてきたが、現場ではどのような困難が経験され、施設のありようをめぐって何が問題とされているのか。
本書では、児童養護施設や母子生活支援施設、里親などを対象に、各施設のフィールドワークを積み重ね、関連する政策文書や史料を丹念に読み込む。それらをとおして、児童養護施設で求められる「家庭」のあり方、施設で過ごす子どもや職員が抱える葛藤、愛着概念の変容、発達障害と施設の関係性、母親という規範などを浮き彫りにする。
医療、教育、ジェンダーなどの多角的な視点から、子どもを養護する現場や制度が抱える規範や規律を照射して、「家族・家庭」と「施設の専門性」の間に生じるジレンマを明らかにする。