
玄武岩(ヒョン ムアン)
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。専門はメディア文化論、日韓関係論。著書に『〈ポスト帝国〉の東アジア』(青土社)、『「反日」と「嫌韓」の同時代史』(勉誠出版)、『コリアン・ネットワーク』(北海道大学出版会)など。
金敬黙(キム ギョンムク)
早稲田大学文学学術院教授。専門は東アジア市民社会論、平和研究、NGO論。著書に『越境するNGOネットワーク』(明石書店)、編著に『越境する平和学』(法律文化社)など。
李美淑(イ ミスク)
大妻女子大学文学部准教授。専門はメディア研究、ジャーナリズム研究。著書に『「日韓連帯運動」の時代』(東京大学出版会)、共著に『ジェンダーで学ぶメディア論』(世界思想社)、『いいね! ボタンを押す前に』『足をどかしてくれませんか。』(ともに亜紀書房)など。
松井 理恵(マツイ リエ)
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部准教授。専門は社会学。論文に「方法としての「朝鮮」」(「部落解放研究」第27号)、「植民地朝鮮とは何か」(「理論と動態」第11号)、編訳書にハーゲン・クー『特権と不安』(岩波書店)など。
在米コリアンのミン・ジン・リーの小説『パチンコ』とそれを原作にした「Apple TV+」のオリジナルドラマシリーズ『PACHINKO パチンコ』は、海外で大きな反響を巻き起こし、ドラマは第2シーズンが2024年に公開を予定している。
本書は、『パチンコ』が描く1910年代から80年代までの在日コリアン家族の波乱に満ちた人生を読み解くことで、戦前から戦後までの日本の風景、在日コリアンの苦難や差別、物語に通底する植民地主義の暴力性や記憶を掘り起こす。
また、『パチンコ』の歴史表象や在日表象から、日韓の歴史認識問題、歴史修正主義の台頭、グローバルなメディア市場で歴史が物語として流通するポリティクスを検証する。
表象にとどまらず、生産・消費・規制・アイデンティティという5つの文化の回路からドラマ『パチンコ』を精緻に分析して、東アジアでの歴史対話とコミュニケーションの新たな可能性を指し示す。