稲村 行真(イナムラ ユキマサ)
1994年生まれ。中央大学法学部卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修士課程在籍。獅子舞研究者、文筆家、美術家、加賀市獅子舞を応援する会顧問(石川県)、獅子舞ユニット「獅子の歯ブラシ」所属。埼玉県白岡市獅子博物館奨励賞受賞(2023年11月)。日本全国500件以上の獅子舞を取材して記事を執筆している。著書に『我らが守り神――石川県加賀市の獅子頭たち』(私家版)、『獅子舞生息可能性都市』(100BANCH)など。
日本最多の民俗芸能といわれる獅子舞。
特徴的な大きな頭と布でできた胴体。口をパカパカさせながら舞い踊る姿を正月のショッピングモールや各地のお祭り、行事などで多くの人が一度は目にしたことがあるだろう。その歴史は古く、西暦600年ごろの飛鳥時代に中国大陸から朝鮮半島を経て日本に伝わり、現在でもその歴史を受け継ぎながら、また社会状況にあわせてさまざまに形を変えながら親しまれている伝統芸能である。
獅子舞の最大の特徴はその「多様さ」だ。獅子舞の舞い方はもちろん、頭や体の形も大きさも地域によって異なり、おのずと獅子舞に込められる人々の願いや祈りも多種多様なものとなる。そこには各地の歴史と文化、そして日々の暮らしが息づいている。
東北地方の「権現舞」、関東の「三匹獅子舞」、北陸地方の「加賀獅子」、三重の「伊勢大神楽」、鳥取の「麒麟獅子舞」など、国の重要無形民俗文化財に指定され多くの人の目にふれるものもあれば、地域の人々の手によって脈々と継承されてきたものも多い。
そんな獅子舞に魅せられた若き著者が、北海道から沖縄まで500カ所以上に足を運び、取材してきたなかから厳選した獅子舞を歴史や風習、そして担い手の思いとともに紹介する。かつてない感染症の流行や地方の過疎化に負けない躍動感あふれる獅子舞たちとそれを守る人たちの生き生きとした姿を120点以上のフルカラー写真とともに収める日本を旅する獅子舞紀行。