
近藤 健児(コンドウ ケンジ)
1962年、愛知県生まれ。中京大学経済学部教授、専攻は国際経済学。著書に『絶版文庫交響楽』『クラシックCD異稿・編曲のたのしみ』『辺境・周縁のクラシック音楽1―イベリア・ベネルクス篇』『辺境・周縁のクラシック音楽2―中・東欧篇』(いずれも青弓社)、『国際労働移動の経済学』『環境、貿易と国際労働移動』(ともに勁草書房)、『The Economics of International Immigration』(Springer)、共著に『絶版文庫三重奏』『絶版文庫四重奏』『絶版文庫嬉遊曲』『クラシックCD異稿・編曲のよろこび』(いずれも青弓社)ほか多数。
新書判の翻訳文学は網羅的には調査・紹介されておらず、ネットにもまとまった情報はない。けれども、知られていないだけで、魅惑的な作品の宝庫だ。
第1章では新書の元祖・岩波新書(岩波書店)が戦後の一時期だけ刊行した、老舎、趙樹理、巴金らの中国小説を取り上げる。第2章では大日本雄弁会講談社のミリオン・ブックス、第3章では河出新書文芸篇(河出書房)の名著をそれぞれ紹介する。1950年代後半に一挙にカタログを充実させたこの2社こそが、第1次新書ブーム下での世界文学の最大の刊行元だった。第4章では語学系出版社という強みを生かして英米文学の貴重な短篇作品を刊行していた英宝社の英米名作ライブラリーを掘り起こす。第5章では白水Uブックス(白水社)の絶版本、第6章ではその他のマイナーな新書群から厳選した名著に光を当てる。
忘れられた数々の名作群から気になる72点を厳選し、1点ずつ作品世界を解説する。それぞれが与えてくれる感動が心のなかで大いなるハーモニーになり、交響楽の妙なる響きを奏でる文学エッセーにして読書ガイド。珍しい書影も多数所収。